先輩の探究事例② 想像していなかった問いに出会う探究

この記事では、実際に探究に取り組んできた先輩たちに、テーマの決まり方や、つまずいた瞬間、探究の進み方について、シリーズで聞いていきます。
今回は、建築と心理学を掛け合わせながら、“居心地の空間とは何か”を探究した先輩の事例です。
チャンスをどう受け取るか、違和感をどう扱うか。
そのプロセスがとても印象的でした。

関西学院大学 建築学部 四回生

あなたの探究テーマは何でしたか?

最終的なテーマは、「居心地の空間とは?」です。
もともとは「建築×心理学」という少し広いテーマで提出していました。

映画館の待ちスペースなどの公共空間で、なぜか人が良く座っている場所がある。
そこには何か共通点があるのではないか?
それが最初の疑問でした。

(写真)空間のデザイン案とプロジェクトの様子

探究をはじめたころ、どんな状態でしたか?

コロナ明けで、学校での探究の授業が十分にできておらず、
正直、焦っていました。

とりあえず提出したテーマが「建築×心理学」。
でも、そこからどう検証するのかが見えていませんでした。

そんな中、外部講師として来られていた小野さんから、
「室外のこの場所で検証してみたら?」という提案をいただきました。
私はそのとき、「室内で考えているので…」と一度お断りしました。

今思えば、それは自分が知らない領域に踏み出すのが怖かったから。

でも、小野さんがこれからの建築界のテーマについて、
書籍を交えながら熱く話してくださって、
「じゃあ、室外でやってみよう」と考えが変わりました。

結果的に、その選択が、自分の想像を超えた建築のおもしろさに
出会うきっかけになりました。
大学でもその視点を深めています。

探究を進める中で、葛藤はありましたか?

ありました。

小野さんからたくさん実践の機会をいただきながら進めていたのですが、
その提案に、自分の探究が追い付いていない感覚があったんです。

「これを、この探究でする意味はなんだろう?」

その違和感が、定期的に出てきました。
違和感を感じるたびに、メモに殴り書きしたり、親に話して頭を整理したり。

外からの機会をただ受け取るのではなく、
「自分の問いとつながっているか?」を何度も確認していました。

探究はどんな流れで進みましたか?

私の場合は、こんな流れでした。

①気になるキーワードを検索
②さらに気になるテーマを再建策
③後輩や家族と問い出し➝分類
④問いの答えを検索
⑤答えがない問い×一番気になるものをリサーチクエスチョンに仮置き
⑥検証方法を考え、小野さんに相談
⑦検証機会の提案をもらう
⑧自分の探究の目的との整合性を整理
⑨検証準備
⑩結果を整理し、次に検証すべきことを考える。
⑪ ⑦~⑩を繰り返す。

一回で決まることはありませんでした。
提案を受ける。自分の中で整理する。やってみる。また問い直す。
この往復が、探究そのものだったと思います。

最後に

最初からしっくりくるテーマを選べる人はいません。
未知だからこそ、チャンスを怖がってしまうこともある。

でも、その一歩の先に、自分が創造していなかった世界があるかもしれない。

そして同時に、外からの提案をそのまま受け入れるのではなく、
「これは自分の問いとつながっているか?」と問い続けること。

居心地の空間を探究していた彼女自身が、
“自分の問いにとっての居心地”を探し続けていたのかもしれません。

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