この記事では、実際に探究に取り組んできた先輩たちに、テーマの決まり方や、
つまずいた瞬間、探究の進み方について、シリーズで聞いていきます。
「なんとなく好きな街」ってありませんか?
特別便利なわけでもない。でも、なぜか離れがたい。
その“なんとなく”を、感覚のままにせず、データで確かめてみたい。
そんな問いから始まった探究です。
兵庫県立大学 環境人間学部 進学
あなたの探究テーマは何でしたか?
「記憶から生まれる街への想い~データで探る愛着形成のメカニズム~」です。
街への愛着は、どのように生まれるのか。
それは思い出と関係しているのではないか。
感覚的に語られがちな「愛着」を、アンケートやデータを通して可視化できないかを
探究しました。
探究をはじめたころ、どんな状態でしたか?
とにかく、テーマが大きくなりすぎていました。
「これ面白そう」と思っても、ネットで調べればすぐ答えが出てくる。
人に聞けば分かってしまう。
「じゃあ自分は何を問いにすればいいんだろう」
リサーチクエスチョンがなかなか定まらず、立ち止まることが多かったです。
さらに、「これ半年以上続けられるのかな」
「アンケートをして本当に結論まで行けるのかな」
先が見えない不安もありました。
実際に商店街のイベント主催者の型の想いを聞き、
自分の目で課題を見つける。
頭の中だけでは見えなかった問いが、少しずつ輪郭を持ち始めました。
一番しんどかった/止まった瞬間は?
仮説と結果が違ったときです。
「こうなるはず」と思っていたのに、
アンケート結果がまったく違う方向を示しました。
「何が間違ってたんだろう」
「もうこのテーマだめかも」
本当は、そこから別の視点で深めればよかったのですが、
当時は、仮説と違う=失敗だと思い込んでいました。
先生からのアドバイスが、自分の進めたい方向と違ったときも迷いました。
「先生を優先するべき?」
「でも自分がやりたいのはこっち…」
正解がないからこそ、決めきれずに止まることもありました。
探究はどんな流れで進みましたか?
例えば「商店街の活性化」という目的があった場合。
①インターネット検索
②現場に足を運び、主催者の想いや課題を整理
③解決策を考える
④誰に発信するべきか考える
⑤世代・性別ごとにアンケート
⑥世代に合わせた媒体を選ぶ
(若者➝Instagram/高齢層➝新聞・チラシなど)
⑦試験的に見てもらい感想を聞く
⑧改善する
⑨再度広告をいてもらい、⑤と比較
⑩効果を分析する
やってみる。数字を見る。改善する。
この繰り返しでした。
感覚だけでなく、データと向きあうこと。
それがこの探究の軸でした。
(写真)フィールドワークの様子


最後に
探究では、仮説通りにいかないことの方が多い。
でもそれは失敗ではなく、
「また見えていない視点がある」というサインかもしれません。
そしてもう一つ。
フィールドに出ること。現場に行くこと。
頭の中で悩み続けるより、
一歩外に出たほうが、問いが動き出すことがあります。
街への愛着を探究していた彼自身も、
きっとその街との関わりの中で、
新しい“思い”を見つけていたのだと思います。
次回も、また違うタイプの探究を紹介します。
進み方は人それぞれ。
だからこそ、自分のやり方を見つけていけるはずです。